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その11の続き。
九州山地を豊肥本線の九州横断特急で越え、阿蘇のカルデラを走り、スイッチバックを下りて立野駅までやってきた。
ここで一旦下車し、南阿蘇鉄道に乗り換える。
先ほど下りてきたスイッチバックの案内。
『三段式(Z型)スイッチバックとしては日本最大』とのこと。奇しくも、国内の非通過型スイッチバック4箇所のうち、木次線出雲坂根駅を除く九州内の3箇所を今回の旅で通過することが出来た。
立野駅200円区間乗車券(券売機券・小児券)。
窓口で入場券を頼んだところ、簡易委託駅であるために口座の設定がそもそも無いとのことであった。
次はこちら、南阿蘇鉄道高森線に乗車する。
高森線の0kmポストと、南阿蘇鉄道MT-3001号車。
こちらの南阿蘇鉄道も、先の熊本電鉄によって立野駅付近のトンネルや橋梁が被害を受けた。
2016年7月31日に中松~高森間が復旧したものの、2017年3月現在も、残る立野~中松間の復旧の目処は立っていない。
14:44(定刻14:35からの時刻変更)、普通 高森行 8017 MT-3001号車(単行ワンマン)乗車。
黒川第一発電所の水圧管を橋で渡る。
トンネルに入る。
第一白川橋梁に差し掛かると、列車は景観が見えるようにとスピードを落とす。
眼下には白川の渓谷が。ここは水面からの高さが62mもある。
この第一白川橋梁は、鉄道省初期の長大アーチ橋とのことで土木遺産にも指定されている、歴史ある橋梁だ(
参照:第一白川橋梁 | 土木学会 選奨土木遺産 - 土木学会 委員会サイト)。
しかし地震によりこの橋が被災してしまい、補修の場合30億円、架替の場合50億円かかるとのことで(
参照:熊本地震で被災した「南阿蘇鉄道」は蘇るか - 東洋経済オンライン 2016.06.12)、先行きは不透明である。
崖から湧水が。カルデラに降った雨が地中で濾過され、地下を通った伏流水が流れ出ているのだろう。
ここ白川はこのような湧水がある水源を複数有しており、南阿蘇鉄道でもそれに因んだ駅がある。
早速阿蘇山が現れる。
長陽駅に停車。
長陽駅の駅舎は木造瓦葺。
常に左手に阿蘇山を見ながら、農村地帯を走る。
阿蘇下田城ふれあい温泉駅に停車。
画像だと石垣風の基礎が見えるが、ここはその名の通り城の形をしているうえ、中に入浴施設が存在している。さらに大人300円とリーズナブル(
参照:阿蘇下田城ふれあい温泉駅 - 南阿蘇村公式HP)。
雲一つない青空。
「日本一長い駅名」の表記があるこの駅は、南阿蘇水の生まれる里白水高原駅。読み仮名22文字・正式表記14文字と、かつては日本一長い駅名であったこの駅。
2001年に一畑電鉄の古江駅が「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前駅」に改名し、さらに同年ディズニーリゾートラインのリゾートゲートウェイ・ステーション駅と東京ディズニーランド・ステーション駅(共に17文字)が開業したため、最長である点といえば読み仮名だけになってしまった(
参照:南阿蘇水の生まれる里白水高原駅 - Wikipedia)。
駅名表記の看板。駅名が剥げかけている。
南阿蘇水の生まれる里白水高原駅の駅舎。
中松駅に停車。
この駅名標を見ると分かるが、先ほど停車した南阿蘇水の生まれる里白水高原駅は、実際に掲示される看板・案内等において「白水高原」駅と略されることが多い。
線内唯一の交換駅、中松駅で立野行列車とすれ違い。
ひたすら農村地帯。
阿蘇白川駅に停車。
阿蘇白川だけに(?)白っぽい駅舎。
こちらの南阿蘇白川水源駅は、訪問4日の2012年3月17日に開業したばかりの駅。
駅舎は基礎工事中であった。
切通し部分に生えていた植物が黒っぽい色合いであったが、これは焼いた跡なのだろうか。
あのギザギザとした山並みはらくだ山のものか。
見晴台駅に停車。
終点の高森駅はもうすぐ。
車窓右手に見えた「高森湧水トンネル公園」の看板。
かつて鉄道で高森~高千穂間を結ぼうとした際、掘削された高森トンネルにおいて漏水事故があり、建設中止となった。その後、そのトンネルを地元高森町が無償で譲り受け、公園として整備したものがこの公園。
こちらは後ほど訪問することに。
15:25、高森駅到着、南阿蘇鉄道完乗。
立野駅は標高277mであったので、540-277=267m上ってきたことになる。路線延長17.7kmなので、267÷17.7≒平均15‰勾配の路線ということだ。
平均で15‰となると、局所的に20‰以上の勾配が存在していると思われ、沿線風景からすると平坦な路線なようでいて、意外と勾配の急な路線だという印象を受けた。
ここまで乗車してきたMT-3001形。
線路が右にカーブしているが、この理由は後述。
駅構内。
ホームは1面1線だが、側線や車庫などがある。
こちらが駅舎。
高森駅入場券(B型硬券)。
ここ高森駅では他駅の記念入場券も取り扱っている。
南阿蘇水の生まれる里白水高原駅記念入場券(硬券)。
先述のとおり、読み仮名は未だに日本一長いためか、わざわざ券面の駅名に振り仮名を振ってあるという徹底ぶり。
そしてこちらが、訪問4日前に開業したばかりの南阿蘇白川水源駅記念入場券(硬券)。
購入記念に、ということで、白川水源のミネラルウォーター(500mLペットボトル入り)を一緒にいただいた。
駅舎内に展示されていたタブレットキャリアとタブレット閉塞機。
緑色のテープには『国鉄高森駅で使用されていました。』とある。
という訳で、先ほど車窓から見えた高森湧水トンネル公園へ向かってみる。
駅舎外へ。
駅前に展示されていたC12 241。
少し進み、南阿蘇鉄道へ近づくと、見たことのあるものが。
これはJR北海道がかつて開発していたDMV(デュアル・モード・ビークル)のモードインターチェンジ、すなわち鉄輪・車輪の切替地点である。
詳細ソースは不明であるが、2008年運行実験を行ったそうである(
参照:南阿蘇鉄道 - Wikipedia)。日中の輸送量ならDMVでも事足りそうな印象ではあったが、朝夕の輸送需要を捌けるのかは不明である。
高森駅から徒歩10分ほどで、先ほど見たトンネル公園へ到着。
では公園内へ入る。
その13に続く。
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